日本には、性をテーマにした祭りが開催される。
しかも、一か所や二か所ではない。
女陰を神聖なものとして祀る祭り、夫婦和合をかなり直接的な寸劇で表現する神事、大根で男女の性器を作る祭り、さらには男根と女陰の形をした食べ物をみんなで食べる行事まで、日本各地には現代の感覚で見ると「そこまでやる!?」と言いたくなる性にまつわる祭りが残されている。
ただし、これらは単なる下ネタ大会ではない。
根底にあるのは、子宝、安産、子孫繁栄、夫婦和合、五穀豊穣といった、人間や作物が「生まれ、増え、実ること」への祈り。
今回は有名な川崎の「かなまら祭」から、地域にひっそり残るかなり濃厚な奇祭まで、日本各地の「性」をテーマにした祭りをまとめて紹介していく。
日本にはこんなにある!性をテーマにした祭り一覧

| 祭り | 地域 | 主な性要素 | 例年の時期 |
|---|---|---|---|
| かなまら祭 | 神奈川県川崎市 | 巨大男根神輿 | 4月上旬 |
| 田縣神社 豊年祭 | 愛知県小牧市 | 巨大男根 | 3月15日 |
| 大縣神社 姫之宮豊年祭 | 愛知県犬山市 | 女陰信仰 | 3月中旬 |
| ほだれ祭 | 新潟県長岡市 | 巨大男根・初嫁 | 3月第2日曜日 |
| 珍棒地蔵まつり | 新潟県長岡市 | 巨大男根を持つ地蔵 | 8月第4日曜日 |
| おんだ祭 | 奈良県明日香村 | 夫婦和合の儀式 | 2月第1日曜日 |
| 福田の馬鹿祭り | 茨城県阿見町 | 男根・女陰・子授け | 旧暦11月15~16日 |
| あらい祭 | 千葉県芝山町 | 大根の陰陽物 | 12月14日 |
| こばやし陰陽石まつり | 宮崎県小林市 | 巨大な男石・女石 | 9月下旬 |
| つめっこ祭り | 群馬県片品村 | 男根・女陰型の食べ物 | 地域により異なる |
※祭りの日程や公開範囲は年によって変更される場合があります。特に小規模な地域行事は一般観光客向けのイベントではない場合もあるため、訪問前に神社・自治体・観光協会などの最新情報を確認してください。
1.かなまら祭【神奈川県川崎市】
日本の性にまつわる祭りとして、圧倒的な知名度を誇るのが川崎市の金山神社で行われる「かなまら祭」。
最大の見どころは、何と言っても巨大な男根を載せた神輿。
巨大な男性器そのものの姿をした御神体が堂々と街中を練り歩き、ピンク色の巨大男根を載せた「エリザベス神輿」なども登場する。
祭りの日には男根をかたどった飴なども販売され、もはや境内から周辺一帯までチンコだらけ。
見た目だけなら完全に悪ノリの珍祭にしか見えないが、金山神社は古くから子授け、安産、縁結び、夫婦和合、下半身の病などにご利益があると信仰されてきた神社だ。
2026年は4月5日に開催。現在では外国人観光客も多数訪れる、世界的に知られた日本の奇祭となっている。
かなまら祭はいつ・どこで開催される?
| 開催場所 | 金山神社(若宮八幡宮境内) |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県川崎市川崎区大師駅前2-13-16 |
| 開催時期 | 例年4月上旬。2026年は4月5日に開催 |
| アクセス | 京急大師線「川崎大師駅」から徒歩約2~3分 |
| 問い合わせ | 若宮八幡宮・金山神社 044-222-3206 |
| 注意点 | 非常に混雑する祭り。開催日や神輿渡御の時間は毎年最新の公式案内を確認 |
2.田縣神社「豊年祭」【愛知県小牧市】
かなまら祭に負けないほどド直球なのが、愛知県小牧市にある田縣神社の豊年祭。
こちらで担がれるのは、木曽ヒノキから作られた長さ2メートル余り、直径約60センチの巨大な男茎形。
つまり、でかい。
とにかく、でかい。
巨大男根を載せた神輿を厄男たちが担いで街を進み、女性たちが木彫りの男根を抱えて行列に参加する光景はかなり強烈。
しかし、この祭りも本来の願いは五穀豊穣、万物育成、子孫繁栄。男性器が「生命を生み出すもの」の象徴として扱われている。
毎年3月15日に開催され、2026年にも例年通り斎行された。
田縣神社「豊年祭」はいつ・どこで開催される?
| 開催場所 | 田縣神社 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県小牧市田県町152 |
| 開催時期 | 毎年3月15日 |
| 開催時間の目安 | 10時~16時頃。神輿行列は午後が中心 |
| アクセス | 名鉄小牧線「田県神社前駅」から徒歩約5分 |
| 問い合わせ | 田縣神社 0568-76-2906 |
| 注意点 | 豊年祭当日は一般来場者向け駐車場が用意されない年があるため公共交通機関がおすすめ |
3.大縣神社「姫之宮豊年祭」【愛知県犬山市】
田縣神社が「男」なら、こちらは「女」。
同じ愛知県にある大縣神社の境内社「姫之宮」は、玉比売命を祀る女性の守護神として知られ、安産、子授け、縁結び、婦人病などの信仰を集めている。
そして境内には、女性器を思わせる「姫石」も存在。
毎年3月中旬に行われる豊年祭も、古くから女性や女陰にまつわる信仰と結び付けて紹介されてきた。
巨大男根を前面に押し出す田縣神社と比べると現在の祭礼はかなり上品だが、男根と女陰、それぞれを生命や豊穣の象徴として祀る文化が同じ地域に残っているのは面白いところ。
2026年は3月15日に開催され、田縣神社の豊年祭と同日開催となった。
大縣神社「姫之宮豊年祭」はいつ・どこで開催される?
| 開催場所 | 大縣神社 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県犬山市字宮山3 |
| 開催時期 | 例年3月中旬。2026年は3月15日 |
| 開催時間の目安 | 9時~16時頃 |
| アクセス | 名鉄小牧線「楽田駅」から徒歩約20分 |
| 問い合わせ | 大縣神社 0568-67-1017 |
4.ほだれ祭【新潟県長岡市】
新潟県長岡市栃尾地域の下来伝地区で行われる「ほだれ祭」も、巨大男根系では絶対に外せない。
御神体である「ほだれ様」は、高さ約2.2メートル、重さ約600キロの巨大な陽根型。
しかも、この巨大男根をただ担ぐだけではない。
祭りでは結婚して間もない「初嫁」がほだれ様の上に乗り、それを男衆が担いで五穀豊穣、子宝、安産などを願う。
男根の上に新婚女性が乗る。
文字にすると完全にアウトな何かにしか聞こえないが、ここでは立派な子孫繁栄の神事。
「ほだれ」という名前も、稲や粟の穂が豊かに実って垂れる「穂垂れ」に由来するとされ、農作物の実りと人間の実りが重ね合わせられている。
2026年は3月8日に開催された。
ほだれ祭はいつ・どこで開催される?
| 開催場所 | ほだれ大神前広場 |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県長岡市来伝地区 |
| 開催時期 | 毎年3月第2日曜日 |
| 開催時間の目安 | 11時~13時頃 |
| アクセス | 長岡ICまたは中之島見附IC方面から車で約50分 |
| 問い合わせ | 栃尾観光協会 0258-51-1195 |
5.珍棒地蔵まつり【新潟県長岡市】
同じ長岡市には、名前からして只者ではない祭りもある。
その名も「珍棒地蔵まつり」。
「ちょんぼ」とは栃尾地方の方言で男性器を意味する言葉で、上樫出地区の音子神社には巨大な男根を持った高さ約1.5メートルの地蔵が祀られている。
しかも完成品を毎年飾るだけではない。
祭りの日になると、地元の男衆が古くなった土を落とし、境内の赤土をこねて素手で塗り、新しい珍棒地蔵を作り上げる。
完成した地蔵に対して安産、子育て、子孫繁栄、農作物の豊穣を祈願するという、素朴なのに絵面の破壊力だけは抜群の祭りだ。
2026年は8月23日に行われた。
珍棒地蔵まつりはいつ・どこで開催される?
| 開催場所 | 音子神社 |
|---|---|
| 所在地 | 新潟県長岡市上樫出1973 |
| 開催時期 | 毎年8月第4日曜日 |
| 開催時間の目安 | 13時頃から境内清掃・地蔵作製、15時頃完成 |
| アクセス | JR長岡駅から栃尾方面へ移動し、「栃尾車庫前」からタクシー約8分 |
| 問い合わせ | 栃尾観光協会 0258-51-1195 |
| 注意点 | 地区行事のため開始時間が変更される場合あり |
6.飛鳥坐神社「おんだ祭」【奈良県明日香村】
巨大な性器を担ぐのではなく、性行為そのものを神事として演じるという方向へ振り切っているのが、奈良県明日香村の飛鳥坐神社に伝わる「おんだ祭」。
本来は田植えの所作を通して五穀豊穣を願う祭りだが、その中で天狗とお多福による結婚式、さらに「夫婦和合の儀式」が行われる。
言葉だけなら上品だが、実際の映像を見ると何を表現しているのかは一目瞭然。
祭りの前後には天狗や翁らが参拝者のお尻を竹で叩いて厄払いをするなど、最初から最後までかなり濃い。
目的は稲の豊穣だけでなく、子宝、縁結び、子孫繁栄。生命を生み出す男女の営みそのものを豊作と重ね合わせた、非常に分かりやすい性信仰の形ともいえる。
なお、例年は2月第1日曜日に行われるが、2025年と2026年は参集殿の再建工事に伴い一般公開を含むおんだ祭が中止となった。今後見に行きたい人は、再開状況を必ず公式情報で確認してほしい。
飛鳥坐神社「おんだ祭」はいつ・どこで開催される?
| 開催場所 | 飛鳥坐神社 |
|---|---|
| 所在地 | 奈良県高市郡明日香村飛鳥708 |
| 例年の開催時期 | 2月第1日曜日 |
| 2026年 | 参集殿再建工事のため中止 |
| アクセス | 近鉄橿原神宮前駅・飛鳥駅方面からバス、「飛鳥大仏」下車徒歩約3分 |
| 問い合わせ | 飛鳥坐神社 0744-54-2071 |
7.福田の馬鹿祭り【茨城県阿見町】
祭りの名前まで強烈なのが、茨城県阿見町福田地区に伝わる「福田の馬鹿祭り」。正式には鹿島神社大祭という。
この祭りでは、大根で巨大な男根と女陰を作る。
さらに、ひょっとことおかめがそれぞれ男女を演じ、腰を振るなどかなり露骨な動きを交えながら子授けや五穀豊穣を祈る。
起源については、かつて地域で疫病が流行し、多くの住民が亡くなったため、村の復興と子孫繁栄を願って始まったと伝えられている。
祭りで使われた大根を食べると子宝に恵まれるという伝承まであり、性器を「笑い」の対象にしながら、同時に生命を生み出す神聖なものとして扱っているのが特徴。
江戸時代から続くとされ、旧暦11月15日から16日にかけて行われる地域色の非常に濃い祭りだ。
福田の馬鹿祭りはいつ・どこで開催される?
| 開催地域 | 茨城県稲敷郡阿見町福田地区 |
|---|---|
| 主な祭礼場所 | 鹿島神社・当番となる地区の家や福田地区内 |
| 開催時期 | 旧暦11月15日~16日 |
| 地図の目安 | 福田農村集落センター周辺 |
| 問い合わせ | 阿見町教育委員会文化課 029-896-6801 |
| 注意点 | 一般観光客向けの大規模イベントではなく、地区内を移動する地域祭礼。開催日時・見学場所・見学可否は訪問前の確認がおすすめ |
8.あらい祭【千葉県芝山町】
千葉県芝山町山田地区で毎年12月14日に行われる「あらい祭」も、大根と性信仰が結び付いた奇祭の一つ。
「大根祭り」とも呼ばれ、子どもたちが宮司たちに大根を投げつけるという、これだけでも十分変わった祭りだ。
さらに古くからの伝承では、大根などを使って男女の性器を模した「神の食」を作り、子孫繁栄や五穀豊穣を願う風習も伝えられている。
現在も芝山町の地域祭事として毎年12月14日の開催が案内されており、「あらい祭り保存会」によって受け継がれている。
巨大な男根神輿のような観光向けの派手さとは違い、小さな地域共同体の中に性と生命の信仰がそのまま残っているタイプの祭りだ。
あらい祭はいつ・どこで開催される?
| 開催場所 | 芝山町山田地区・大宮神社 |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県山武郡芝山町山田1441 |
| 開催時期 | 毎年12月14日 |
| 問い合わせ | 芝山町教育委員会 生涯学習課文化振興係 0479-77-1861 |
| 注意点 | 地域の伝統行事なので、見学する場合は当年の開催状況を町の案内で確認 |
9.こばやし陰陽石まつり【宮崎県小林市】
ここまで人工的に作られた男根や女陰を紹介してきたが、宮崎県小林市の場合はスケールが違う。
なぜなら、自然が巨大な男性器と女性器を作ってしまったからだ。
小林市の浜の瀬川にある「陰陽石」は、霧島火山帯の火山活動と長い年月の浸食によって形成された奇岩。
男根を思わせる「陽石」は高さ約17.5メートル。そのすぐそばには、女性器を思わせる周囲約5.5メートルの「陰石」が存在する。
しかも二つが一対で並んでいる。
人間が狙って削ったわけでもないのに、自然だけでこの形が完成しているのだから恐ろしい。
古くから「よろず生産の神」「子宝の神」として信仰され、毎年9月下旬には「こばやし陰陽石まつり」が開催。地元の伝統芸能なども披露される。
巨大男根ランキングがあるなら、人工物禁止部門では間違いなく優勝候補。
※上の動画は祭りそのものではなく、陰陽石を訪問する内容の動画です。
こばやし陰陽石まつりはいつ・どこで開催される?
| 開催場所 | 陰陽石 |
|---|---|
| 所在地 | 宮崎県小林市東方地区 |
| 開催時期 | 例年9月下旬・秋分の日頃 |
| アクセス | JR小林駅から車で約15分、小林ICから車で約20分 |
| 問い合わせ | 小林観光案内所 0984-22-8684 |
| ポイント | 祭り開催日以外でも陰陽石そのものは観光スポットとして見ることができる |
10.つめっこ祭り【群馬県片品村】
最後は、性器を「見る」「担ぐ」「拝む」ではなく、作って食べるという方向に進化した祭り。
群馬県片品村に伝わる「つめっこ祭り」だ。
つめっことは小麦粉を練って作る郷土食の一種。針山地区に残る詳しい伝承では、初参加者などに対して男根と女陰をかたどった巨大な「砂糖つめっこ」をどんぶりで振る舞う風習が記録されている。
かなまら祭の男根飴がかわいく思えてくる。
針山の伝承では祭神は山の神である「十二様」で、家族の繁栄や家系の継続を願い、旧暦9月28日に行われてきたという。
なお、片品村が2026年3月に策定した「第5次片品村総合計画」でも、つめっこ祭りは保存・継承すべき地域文化として挙げられている。ただし同計画では「つめっこ祭り(花咲)」との記載があり、針山地区に残る十二様の祭礼記録とは場所の表記が異なる。
観光イベントとして大々的に開催されるタイプではなく、地域内部で受け継がれてきた民間信仰に近い存在。実際に見てみたい場合は、集落へ直接向かうのではなく、片品村や観光協会へ開催場所・日時・見学可否を確認してから訪れるのがいい。
つめっこ祭りを見に行く場合の注意点
| 地域 | 群馬県利根郡片品村 |
|---|---|
| 伝承記録 | 針山地区の十二様祭りとして旧暦9月28日の記録あり |
| 現在の村計画 | 「つめっこ祭り(花咲)」として保存・継承対象に記載 |
| 一般見学 | 観光イベントとしての公開日時は通常掲載されていないため要事前確認 |
| 問い合わせの目安 | 片品村観光協会 0278-58-3222 |
| 注意点 | 小規模な地域祭礼のため、無断で集落や祭礼会場へ入らず事前確認を推奨 |
なぜ昔の日本人はチンコや女陰を神様にしたのか?

ここまで見てくると、ある共通点に気付く。
どの祭りも「エロいから性器を飾っている」わけではない。
性器=生命が生まれる場所という、とても単純で原始的な考え方が根底にある。
人間にとって子どもが生まれること。
農村にとって作物が実ること。
家にとって子孫が続くこと。
これらはすべて「生まれる」「増える」「実る」という同じイメージで結び付けることができる。
だから男根は種を与えるもの、女陰は生命を受け入れて生み出すものとして、豊穣や子孫繁栄の象徴になった。
現代では性器を公の場に出せば「卑猥なもの」として扱われることが多いが、古い民間信仰の世界ではむしろ逆。
隠すべき恥ずかしいものというより、命を生み出す強烈な力を持ったものとして神聖視されることがあった。
今も残る性の祭りは、日本人が昔からスケベだった証拠なのか

巨大なチンコを担ぎ、女陰を拝み、腰を振り、性器型の食べ物を食べる。
これだけ並べると「昔の日本人、自由すぎるだろ」と言いたくなる。
実際、性を笑いや娯楽として楽しむ大らかさが祭りの中に混ざっているのも事実。
ただ、その根っこにあるのは単純なエロではなく、セックスの先に新しい命が生まれるという、人間にとって最も根源的な出来事への信仰だ。
子どもが無事に生まれてほしい。
夫婦が仲良く暮らしてほしい。
今年も作物がたくさん実ってほしい。
そして、自分たちの家や村が次の世代へ続いてほしい。
そんな切実な願いを、ときには巨大な男根、ときには女陰、ときには笑ってしまうほど露骨な夫婦和合の芝居に託してきた。
そう考えると、日本各地に残る性の祭りは「エロい珍祭」というだけでは片付けられない。
性を隠すのではなく、笑いながら真正面から受け止め、それを命や豊穣への祈りへ変えてきた日本人の、かなり生々しい文化の痕跡なのだ。
とはいえ――。
目の前を高さ2メートルの巨大チンコが担がれてきたら、そんな難しい話は一旦忘れて笑ってしまうと思う。
それも含めて、たぶん正しい祭りの楽しみ方なのかもしれない。



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