金を借りる代わりに、自分の全裸写真を撮影して貸し手へ送る。
しかも写真には顔だけでなく、本人確認のための身分証まで一緒に写す。返済できなければ、その写真や動画を家族、友人、学校へ送りつける――。
2010年代半ばの中国で、そんな異様な金の貸し借りが実際に広がった。
中国語で「裸贷(裸貸)」、あるいは「裸条」「裸条借贷」と呼ばれた闇金融である。
2016年には女子学生らの裸写真や動画をまとめた約10GBものファイルがネット上へ流出。写真だけでなく氏名、学校、住所、家族の電話番号など大量の個人情報まで一緒に漏れ、社会問題へ発展した。
さらに調べていくと、これは単に「裸写真を担保にした変わった高利貸し」では終わらない。
高利貸し、個人情報収集、性的画像による脅迫、画像の売買、売春の斡旋、そして自殺に至ったと報じられた学生までいる。
そして中国当局による大規模な規制から年月が経った現在も、「裸貸」という手口そのものが完全に消えたわけではない。
裸貸をめぐる主な出来事
- 遅くとも2016年前半には女子大学生向けの裸貸が社会問題化
- 週利30%という事例も報道
- 2016年末、約167人分とされた約10GBの写真・動画・個人情報が流出
- 返済不能者に性的行為を要求する「肉偿」と呼ばれる手口も出現
- 2017年以降、放貸者や関連業者の逮捕・実刑判決が相次ぐ
- 2017年、中国当局がネット金融業者による大学生向け融資を原則停止
- 2020年、中国のP2P融資プラットフォームは当局発表上「ゼロ」に
- それでも2023年にも裸貸を使った犯罪グループが摘発されている
裸貸とは? 「写真を担保にする」というより人間関係を人質にした借金

裸貸の基本的な仕組みは単純だ。
金を借りたい女性に対し、貸し手が身分証を持った裸体写真や動画を要求する。
さらに氏名、住所、学校、学生証、携帯電話番号、家族の住所や勤務先、友人や同級生の連絡先、スマートフォンの連絡帳などまで提出させるケースがあった。
返済が滞まれば、
- 親へ裸写真を送る
- 友人や同級生へ送る
- 学校へ送る
- ネットへ公開する
と脅して返済させる。
その意味では「裸写真を担保にした融資」という言い方も少し違う。
本当に人質になっているのは、借り手本人の家族関係や学校生活、職場、社会的信用だった。
写真を回収されたところで金に換えられるわけではない。写真を公開されたくないという恐怖そのものに価値を持たせた仕組みだった。
出典:新華網・北京青年報「借贷宝违规“赚利差”酿出“裸条”风波」(2016年12月4日)
裸貸はいつごろ生まれたのか

裸貸について、「最初に誰が始めたか」「何年何月に誕生したか」まで特定できる信頼性の高い資料は見当たらない。
ただし、遅くとも2016年前半にはすでに広く行われていた。
2016年6月の中国メディアによる調査では、ネット上の借金グループで女子大学生が裸写真を使って金を借りる行為は、すでに「公開の秘密」のような状態だったと報じられている。
背景にあったのが、2010年代半ばに中国で急拡大したキャンパスローンとP2Pネット融資だった。
スマートフォンだけで申請でき、銀行では融資を受けにくい大学生でも短時間で金を借りられる。
その市場へ大量の業者や個人放貸者が入り込み、QQやWeChatなどのSNSを利用した私的な貸し借りも拡大した。
有名になったのが「借贷宝」というP2P型サービスだ。
ただし、借贷宝そのものが裸貸を発明したとする証拠はない。
借贷宝側は後に「裸条はサービス誕生以前から存在していた民間融資の悪習」であり、問題となった裸写真についても借贷宝内部ではなく、貸し手と借り手がQQやWeChatなどを通じて直接やり取りしたものだと説明している。
一方で、実際に借贷宝上で金の受け渡しが行われたケースも多く、2016年末の大流出事件では同サービスも批判の中心となった。
つまり裸貸は、特定企業が作った一商品というより、ネット金融が急速に普及する一方、貸金業者や個人間融資への規制が追いついていなかった時期に成長した地下型融資と考えたほうが実態に近い。
出典:中国経済周刊/新華網「卧底女大学生“裸条”借贷调查:疯狂的校园借贷」(2016年6月28日)
500元の借金から抜けられない 異常な高金利
裸貸が広がった最大の要因のひとつが、借金を借金で返させる仕組みだった。
2016年に報じられたある女子学生のケースでは、最初に借りた金はわずか500元。
返済できなくなったため別の貸し手から裸貸を利用し、5000元を借りた。そこで要求されたのが、生活写真、氏名、身分証、住所、家族と同級生の連絡先、そして身分証を持った裸体写真と動画だった。
利息は週30%。
別の調査では、ある学生が複数の貸し手から合計12万元ほど借り、わずか4か月ほどで債務が25万元以上へ膨らんだケースも報じられている。
返せない。
そこで別の貸し手から借りる。
その借金の返済期限もやって来る。
さらに別の業者から借りる。
この繰り返しで、元々は数百元、数千元だった借金が短期間で巨大化していった。
そして普通の貸し手から金を借りられなくなった女性に対して、「裸写真を出すなら貸す」という条件が提示された。
一部の報道では、裸写真を提出すれば通常の2~5倍まで借りられるケースもあったという。
出典:新華網「“裸条”借贷调查:女生无法还款或被安排卖淫还钱」(2016年8月26日)
2016年、「10GB裸条」がネットへ流出

【挿絵03:暗い部屋のパソコン画面に大量のファイルが並び、横に身分証らしきカードとスマートフォン。人物の裸体や実在データは描かない】
裸貸を中国全土へ知らしめたのが、2016年11月末に発生した大規模流出事件だった。
ネット上に出回ったファイルは約10GB。
借贷宝側の後日の調査では、流出資料から167人の女性を確認。そのうち128人が借贷宝ユーザーで、109人には実際の取引記録があったとしている。
含まれていたと報じられたのは裸写真や動画だけではない。
- 氏名
- 身分証番号
- 学校名
- 学部・クラス
- 学生証
- 住所
- 携帯電話番号
- 友人や同級生の連絡先
- 両親の電話番号や勤務先
- 各種SNSアカウント
など、本人と現実社会を直接結び付けられる情報だった。
裸貸が特に深刻だった理由がここにある。
単なる匿名の成人向け画像ではなく、「誰が写っているか」を特定するための情報まで最初からセットで作られていた。
しかも返済すれば安全という保証もなかった。
経済参考報は、すでに借金を完済していた女性の個人資料まで流出したケースがあったと報じている。
借贷宝側は、写真や動画は同社サービス内で作成・保存されたものではなく、QQやWeChatなどを使った貸し手と借り手の私的なやり取りで生じたものだと説明。警察へ通報し、疑わしい放貸者のアカウントを凍結するなどの対応を取った。
したがって、「借贷宝から10GBの写真がハッキングされて流出した」と説明するのは正確ではない。
借贷宝を含むネット金融やSNSを通じて行われていた裸貸で集められたデータが、何らかの経路で大量に集積・流通した事件と見るのが妥当だ。
出典:新華網・北京青年報(2016年12月4日)、中国網財経(2016年12月23日)
借金の「担保」だった画像が、そのまま商品になった
さらに悪質なのは、集めた裸体写真そのものが売買され始めたことだった。
2016年8月、京華時報の記者が実際にQQ上の販売者へ接触。
販売者から送られてきた圧縮ファイルには、複数の女性が身分証を持って撮影した写真や動画が収録されていた。
「毎週更新」と称して新しい資料を販売する者もいた。
同年12月になると、10GBの資料を50~100元程度で販売する者まで確認されている。
つまりこの時点で、裸貸の構造は変質している。
本来は「返済させるための脅し」に使うはずだった写真が、返済の有無とは無関係に第三者へ販売できる商品になってしまった。
金を返しても画像は消えない。
貸し手のパソコンから削除されたとしても、その前に別の誰かへ売られていればコピーは残る。
2018年には、こうした裸貸関連の画像や動画をQQグループなどで販売していた4人に実刑判決が出た。
安徽省淮南市田家庵区人民法院は、3人を「わいせつ物販売営利罪」で懲役3年~3年6か月、別の1人を「わいせつ物伝播罪」で懲役1年としている。
出典:澎湃新聞「贩卖传播“裸贷”淫秽色情信息,4人获刑」(2018年12月21日)
返せなければ「肉偿」 性的行為まで要求された

裸貸について調べると頻繁に現れる言葉が「肉偿(肉償)」だ。
文字通り、金の代わりに身体で返済させるという意味で使われた。
2016年の京華時報による潜入取材では、裸貸を扱う業者が「返せなければ仕事を紹介する」と説明し、その実態について売春を斡旋するものだと語っている。
写真や動画を各地の「客」へ送り、相手が女性を選ぶ。そこで得た金を返済へ回すという説明まで行われていた。
もちろん業者側が取材で語った内容のすべてが実際にその規模で行われていたと確認されたわけではない。
しかし後の刑事事件では、裸写真を材料に女性へ性的行為を要求した事例が実際に摘発されている。
2017年1月には甘粛省定西市で、女子大学生へ高金利で金を貸し、返済できなくなると裸写真を友人へ公開すると脅して性的行為を要求した男が、恐喝容疑で刑事拘留された。
報道では、裸貸の放貸者本人が刑事拘留された全国初の事例とされた。
出典:中国新聞網「甘肃定西“裸条”高息放贷男子被刑拘」(2017年2月6日)
「裸貸で大量の自殺者」は事実なのか
海外メディアの記事を読むと、裸貸と自殺がセットで語られていることが多い。
ここは少し整理が必要だ。
ロイターは2017年9月、中国で悪質な学生向け融資による自殺が相次いだとして、中国当局による規制強化を詳しく報じている。
記事では、21歳の男子大学生が十数社のオンライン金融業者から約59万元の借金を抱え、取り立てを受けた末にホテルから飛び降りて死亡した事件を紹介。
同じ記事の中で、一部の女子学生については裸体写真や性的な動画を担保として要求され、返済しなければネットに公開すると脅されていたことも伝えている。
ロイター自身も160人を超える女性の裸貸ファイルを確認したとしている。
ただし、ここでいう「相次ぐ自殺」は裸貸だけに限定した数字ではなく、悪質なキャンパスローン全体の問題である。
「裸貸によって中国で○人が死亡した」という全国統計は確認できない。
一方で、裸写真を使った取り立てと死亡が直接結び付く個別事件は存在する。
2017年4月、中国メディアは、キャンパスローンの返済に追われていた女子学生が死亡した事件を報じた。
父親は娘の借金を一部肩代わりしていたものの取り立ては止まらず、やがて父親のもとへ娘の上半身裸の写真まで送られてきた。
女性はその後、泉州へ移動し、現地の宿泊施設で自ら命を絶ったと報じられている。
また別の20歳の女子大学生は、裸写真を使った「肉偿」の要求を受け、自傷に及んだ後、警察への相談につながった。
したがって、「裸貸が自殺者を出した」という点そのものは根拠がある。
ただし海外報道で使われた「相次ぐ学生の自殺」を、そのまま「裸貸だけで大量の自殺者が出た」と読み替えるのは正確ではない。
出典:Reuters(2017年9月27日)、中国新聞網(2017年4月21日)、澎湃新聞(2017年1月27日)
業者は実際に逮捕されている

裸貸は大きな騒動になっただけで終わったわけではない。
放貸者、取り立てグループ、流出画像の販売者などが実際に摘発され、有罪判決も出ている。
| 時期 | 事件 | 結果 |
|---|---|---|
| 2017年 | 甘粛省で裸写真を使い女子大学生へ性的行為を要求 | 放貸者を恐喝容疑で刑事拘留 |
| 2017年 | 広東省のキャンパスローン一斉摘発 | 20か所以上を摘発、180人以上を拘束。被害学生350人以上 |
| 2018年 | 裸貸関連の写真・動画をQQなどで販売 | 4人に懲役1年~3年6か月 |
| 2018年 | 裸写真を使った套路貸で女性を拘束・脅迫 | 強姦、恐喝、非法拘禁などで4人に実刑 |
| 2020年 | 重慶の裸貸・套路貸グループ | 14人全員に懲役11か月~5年2か月 |
| 2023年 | 浙江省紹興の裸貸型套路貸グループ | 主要容疑者3人に刑事強制措置 |
中国では「裸貸罪」という名前の犯罪が一つ存在するわけではない。
実際の行為に応じて、恐喝、詐欺、違法債権回収、非法拘禁、わいせつ物販売・伝播、売春斡旋、強姦などとして処理されてきた。
裸写真を撮らせて金を貸しただけではなく、その後に何をしたかによって適用される犯罪も変わる。
中国政府は「裸貸だけ」でなくキャンパスローン市場そのものを潰しにいった
裸貸が拡大した2016年、中国ではネット融資業界そのものへの規制が始まった。
決定的だったのは2017年。
中国銀行業監督管理委員会、教育部、人力資源社会保障部は、在校大学生を対象とするネット金融業者の融資について、一律停止する方針を通知した。
無許可の事業者が大学へ入り学生に融資することを禁止し、悪質な詐欺、高利貸し、暴力的な取り立て、わいせつ物の制作・販売・伝播などについては公安・司法機関へ移送すると明記している。
これは「裸貸という商品だけ禁止する」という対応ではない。
裸貸を生み出した土壌だった無秩序なキャンパスP2P市場そのものを学生から切り離す方針だった。
その後、中国はP2P金融全体の大規模整理へ進む。
最盛期には数千社規模まで膨らんでいたP2Pプラットフォームは急速に閉鎖され、中国当局は2020年までに営業中のP2Pプラットフォームがすべて「ゼロ」になったと発表した。
2016年当時のように、学生がP2Pアプリ上で個人の高利貸しと接触し、そこからQQなどへ移動して裸写真を担保に借りるという市場は大幅に縮小した。
出典:中国教育部「关于进一步加强校园贷规范管理工作的通知」(2017年)、中央紀委国家監委(2021年1月15日)
それでも裸貸は消えなかった 2023年には5000元が「550万元」に

P2P業者が消えれば裸貸も消滅する。
そう単純にはならなかった。
2023年、浙江省紹興市の警察が裸貸を利用した「套路貸」グループを摘発している。
被害に遭ったのは26歳の女性。
最初に借りようとした金は5000元だった。
しかし実際には手数料などを差し引かれ、3500元程度しか受け取れなかったという。
返済できなくなると、新しい借金を作って前の借金を返す「過橋貸款」を繰り返させられた。
警察によれば、4か月間で作られた借用書の総額は550万元。
実際に本人が自由に使えた金が550万元あったわけではない。新しい借金で古い借金を帳簿上返済する取引が何度も繰り返され、その総額が膨れ上がったものだった。
業者は女性から事前に入手していた裸写真と動画を使って脅迫。
写真は本人の両親、夫、親族、職場の同僚など少なくとも10人以上へ実際に送られたと警察は説明している。
女性は精神的に追い詰められて家を出ており、父親が「自殺する可能性がある」と110番通報。警察が女性を発見し、その後の捜査でグループが摘発された。
主要容疑者3人には、非法経営、詐欺、違法債権回収などの疑いで刑事強制措置が取られた。
2016年から7年も経った2023年に、ほぼ同じ構造の犯罪が成立していたことになる。
出典:CCTV/四川在線「女子“裸贷”5000元4个月欠下550万元」(2023年5月9日)
2025年にも中国の最高人民検察院が裸貸事件を取り上げている
さらに2025年1月、中国の最高人民検察院は「裸貸」を扱った事件の実務記事を掲載している。
事件そのものは2020年。
大学時代に別のローン返済へ困っていた女性が、ネット広告を通じて3万5000元を借りようとした。
貸し手は裸体写真、動画、さらに性的行為を撮影した映像を要求した。
女性が返済できなくなると、貸し手は「青島まで来なければ写真と動画をばらまく」と脅し、性的行為を要求。
当初、警察は恐喝事件として捜査していた。
しかし検察官は、裸体画像の公開を材料に心理的に抵抗できない状態へ追い込み性的行為をさせたとして、強姦罪についても捜査するよう監督。最終的に同容疑で立件された。
この記事で最高人民検察院は、裸貸などの違法融資について「社会で繰り返し禁止されても絶えない」趣旨の説明をしている。
中国当局自身も、裸貸を完全に過去の問題とは見ていない。
出典:中華人民共和国最高人民検察院「“裸贷”放贷人的行为如何认定」(2025年1月21日)
現在でも「裸貸」で検索すると動画が出てくる理由

そして妙なことに、事件から10年近く経った現在でも、中国語や日本語で裸貸や裸条について検索すると、それらしい動画や「10GB」「流出」といった言葉を使ったページが出てくる。
2026年10月時点でも、検索インデックス上には2016年の大流出事件を扱った動画や、「10Gの私密資料」などをうたうタイトルを付けた動画ページが残っていることを確認できる。
ただし、現在検索で見つかる一本一本の動画が2016年当時の本物の流出データかどうかまでは確認できない。
ニュース解説、再現映像、事件を題材にした動画、無関係な成人向け動画へ「裸貸」と付けたもの、本物の流出物を再アップロードした可能性のあるものが混在している。
一方で、2016年に流出した資料がその後コピーされ、第三者同士で販売・再配布されたこと自体は裁判記録から確認できる。
2018年に実刑判決を受けたグループの事件では、裸貸関連の写真や動画を購入・交換して入手し、QQグループで販売し、さらに百度のクラウドストレージなどへ転載していた。
一つのファイルがコピーされる。
それを別の人間が買う。
さらに別のクラウドへアップロードする。
そこからまた誰かが保存する。
2016年当時の時点ですでに「毎週更新」「毎日更新」を売り文句にした販売者まで存在していた。
ここまでコピーが分散してしまえば、最初の放貸者を逮捕しても、元ファイルを削除しても、すべての複製をネットから回収することは極めて難しくなる。
裸貸という金融ビジネスより、そこで作られたデータのほうが長生きしてしまった。
裸貸は形を変えて地下へ移った
2016年当時の裸貸を支えていた環境は、その後かなり変わった。
P2P業者による大学生向け融資は禁止され、中国国内のP2Pプラットフォーム自体も大規模整理によって消えていった。
大学構内や大手ネット金融サービスを利用して学生を大量に集める2016年型の裸貸は、当時ほど表立って存在できなくなった。
しかし2023年の事件を見る限り、裸写真や連絡帳を取る、短期間の高利融資を行う、返済できなければ別の借金を作らせる、写真を家族や職場へ送り付けるという仕組みは、そのまま残っている。
違うのは舞台だ。
かつてのP2Pキャンパスローンから、SNS上の個人融資、無許可の闇金、詐欺的な「套路貸」へ移った。
そして裸貸事件が残したもう一つのものが、2016年前後に大量に作られた写真や動画だった。
借金は返せる。
業者も逮捕できる。
サービスも閉鎖できる。
しかし、一度ネット上で大量に複製されたデータだけは、元の状態へ戻せない。
2016年に「裸写真を担保に金を借りる」という異様さで注目された裸貸は、最終的には金融トラブル以上に、ネットへ流出した個人情報と性的画像が半永久的に残り続ける事件になった。
2026年になってもその名前を検索すれば、当時の事件を示す動画や「10GB」という言葉が検索結果へ現れる。
制度は消えても、コピーされたデータまでは一緒に消えてくれなかった。



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