メンズエステを、ただの真面目なマッサージ店だと思っている人は、おそらくほとんどいない。
かといって、一般的な風俗店とまったく同じ遊びでもない。
鼠径部を執拗に攻められ、セラピストの指先が陰部をかすめる。身体を密着させられ、紙パンツの中ではしっかり勃起している。それでも直接的にヌいてはくれない。
勃起はさせる。でもヌかない
その焦らしと寸止めを楽しむのが、メンズエステという遊びの中心だ。大半の店はそこまでで終わるし、そこにこそ風俗とは違う醍醐味がある。それくらいは分かっている。
すべてを最初から「性的サービスあり」と明示されたら、安心はできても、あの独特な興奮は薄れてしまう。
何かあるかもしれない。でも何もないかもしれない。
指先がわずかに触れるかもしれない。
でもその先は無い。
「今日はあるかな、あるかな」と期待しながら店やセラピストを選び、結局何もなくても、それはそれで楽しい。次は別の店へ行くか、同じ人でもう一度勝負してみる。
その不確実さまで含めて、客は金を払っている。
だから私は、メンズエステのグレーさ自体を否定したいわけではない。むしろ、あのグレーな領域を大人の遊びとして残したいからこそ、そこへ紛れ込んだ膿を見て見ぬふりするなと言いたい。
今回問題にしたいのは、客を意図的に誘導しておきながら「はい、セラピストに触ったね、罰金」等と迫る店。そして客を勃起させてから「ヌいてあげるから一万円」と、店に隠した裏オプションを持ちかけるセラピストだ。
どちらも、メンズエステ特有のグレーな興奮へ寄生して金を取る。しかも実際の事件や法律相談を探すと、冗談では済まない事例がいくつも出てくる。
迷路亭愛グレーは残したい。でも、グレーを隠れ蓑にした脅しや裏取引まで「大人の遊び」で済ませる気はないわ
「勃起はさせるがヌかない」がメンズエステの醍醐味ではある


メンズエステの基本商品は、マッサージだけではない。
もちろん肩や背中も揉むし、オイルを使って脚も流す。なかには身体が本当に軽くなるほど技術の高いセラピストもいる。
ただ、客が高い金を払う最大の理由は、整体師や一般的なリラクゼーション店では味わえない性的な緊張感だろう。
うつ伏せで脚を開かされ、内腿から鼠径部へ指が近づいてくる。仰向けになれば、紙パンツ越しの膨らみを見られたまま、ぎりぎりの場所を何度も往復される。セラピストの胸や腿が身体へ触れ、吐息や体温まで近づく。
それでも、手で直接ヌくわけではない。性行為をするわけでもない。
だから「性的サービスではない」という理屈なのだろう。
でも、勃起させることまで含めて計算された施術を、性的なものではないと言い張るのはさすがに無理がある。
メンズエステで売られているのは射精ではない。
射精へ至る直前までの性的興奮だ。
それは風俗とは違うし、違うからこそ楽しい。客もその焦らしを理解した上で入り、最後まで何もなくても「そういう遊びだから」と帰る。
この暗黙の了解がきちんと成立している間は、グレーでも大きな問題にはならない。
メンズエステという看板は白から黒まで広すぎる


一口にメンズエステと言っても、実態はあまりにも幅広い。
そもそもメンズエステと言えばメンズTBCみたいな本当のエステの男性用を指す言葉だった。
それがいつしか男性客をメインとしたマッサージ店の総称になっている。
直接的なサービスはしないものの、鼠径部、密着、衣装、ローションを使い、性的な焦らしを売る一般的なメンズエステもある。
さらに、性風俗特殊営業として必要な届出を行い、最初から性的サービスがあることを明示して営業する「メンズエステ」も存在する。
以前の吉原には、メンズエステ的な施術とソープランドのサービスを一つの店で受けられるような業態まであった。
そこまで明確に性的サービスを掲げているなら、少なくとも「あるのか、ないのか」という部分で客を騙してはいない。法に沿った営業をしている限り、隠れ風俗とも違う。
ただ、最初から「性的サービスがあります」と明示された瞬間、メンズエステ特有の興奮が薄れるのも事実だ。
ヌいてくれると分かっているなら、それはもう風俗に近い。
何もないことになっている場所で、どこまであるのか分からない。直接的なサービスへ行きそうで行かない。その不確実さが興奮を生む。
つまり、グレーはメンズエステの欠陥ではない。最大の商品だ。
問題はグレーであることではない。
客を興奮させるためのグレーと、客を騙したり脅したりするためのグレーを、同じ言葉でごまかしていることだ。
性的サービスはないのに性的なオプションだけは山ほどある


「当店は風俗店ではありません」
「性的サービスは一切行っておりません」
そう掲げながら、店のオプション表を開けば、ディープリンパ、衣装チェンジ、極濃ローションといった言葉が並ぶ。
ディープリンパでは通常よりもしつこく鼠径部を攻める。
衣装チェンジを頼めば、セラピストが透けたベビードール姿になる。
極濃ローションを追加すれば、普通のオイルより粘りのある液体を使い、ぬるぬるとした感触や密着感を強める。
店によって名称や内容は違うが、どれも肩こりを治すためのものではない。客を興奮させ、通常コースよりさらに性的な雰囲気を強めるための有料オプションだ。
直接ヌいていないから性的サービスではない。
陰部を明確につかんでいないから健全。
透けた衣装も濃いローションも、あくまで施術の演出。
一つひとつを切り離せば、そう説明できるのかもしれない。だが全部を組み合わせた店が何を売っているのかは、子どもでも分かる。
性的な期待を利用すること自体が悪いとは思わない。それがメンズエステの商売なのだから、好きに売ればいい。
腹が立つのは、性的なオプションで客単価を上げておきながら、都合が悪くなった瞬間だけ「健全なマッサージ店に、客が勝手に下心を持ち込んだ」という顔をすることだ。
それはさすがに客を馬鹿にしすぎている。



性的な匂いで呼び込んでおいて、都合が悪いときだけ健全店へ戻る。そんな便利な白衣、どこにも売ってないわよ
健全なグレーと悪質なグレーはまったく違う


メンズエステのグレーには、少なくとも三つの段階がある。
一つ目は、最後まで直接的なサービスはせず、焦らしと密着だけで終える店。おそらく大半はここで、これが本来のメンズエステだろう。
二つ目は、店としては禁止しているが、セラピストが個人的に追加サービスを行うケース。店に隠れている場合もあれば、実質的に黙認されている場合もある。
三つ目は、店ぐるみで裏のサービスを用意していたり、逆に客をわざと誘導して違約金や示談金を取ろうとしたりするケース。
一つ目のグレーは、客とセラピストが同じ遊びを理解している限り成立する。
セラピストは直接的なサービスをしない。客も勝手に触らない。どこまで近づくかはセラピストが決め、客はその範囲で焦らされることを楽しむ。
ルールそのものは白黒はっきりしている。そのルールの内側で、演出だけをグレーにする。
これが健全なグレーだと思う。
同じ店でもセラピストによって違い、同じセラピストでも客によって対応が変わる。口コミには露骨に書けず、隠語と匂わせばかりが増えていく。
でも、それ自体は悪いことではない。
「今日はあるかな、あるかな」と期待しながら金を払い、結局何もなかった。あるいは、予想以上に際どいところまで攻められた。その答えを知らずに店へ入ることも、メンズエステ遊びの楽しさだ。
だから、何もなかったというだけでキレる客も、遊び方を分かっていない。
直接的なサービスがあるとは約束されていないのに、「高い金を払ったんだから何かしろ」「前のセラピストはやってくれた」と迫る。何もなければ詐欺扱いし、店やセラピストへ悪評をぶつける。
確実にヌいてほしいなら、最初から性的サービスを明示している店へ行けばいい。
「あるかもしれない」と「あるはずだ」は、まったく違う。
曖昧なままでよいのは、今日どこまで焦らしてくれるのかという答え。
曖昧にしてはいけないのは、客が何をしたら禁止行為になるのか、追加料金はいくらなのか、問題が起きたときにどう扱われるのかというルールの方だ。
そのルールまで隠し、さらに悪意まで加わった瞬間、グレーは興奮の余白ではなく、客を追い込む罠へ変わる。



焦らし方は曖昧でいい。でも禁止事項と料金まで曖昧にしたら、それは色気じゃなくて罠
「一万くれれば抜くよ」は作り話ではなかった


弁護士ドットコムに掲載された法律相談には、次のような内容がある。
施術終了の15分前、セラピストから「一万くれれば抜くよ」と持ちかけられ、客が応じてしまった。延長料金では店に半分ほど持っていかれるため、それよりも一万円をチップとして直接受け取りたいという話だったという。
これはまさに、「勃起したね。ヌいてあげるから一万円」という後出しの裏オプションだ。
衣装チェンジ、ディープリンパ、極濃ローションのように、最初から料金表へ出ているオプションとは違う。
店に隠し、二人きりの個室で、客を十分に興奮させてから現金を持ちかける。断れば残り時間が気まずくなり、応じれば非風俗店で直接的なサービスを受けたという危険を客まで背負う。
しかも、問題はその場の一万円だけでは終わらない。
別の法律相談には、セラピスト側から一万円で性的類似行為を提案され、客が応じた半年後、店から「女性が嫌がる禁止行為があり、精神的苦痛を受けた」と連絡されたという内容まで掲載されている。
これらは相談者側が記載した内容であり、裁判で事実認定された事件とは違う。だが、セラピスト側から持ちかけられた一万円の裏オプションを受けた客が、後から刑事事件や高額請求を恐れて法律相談へ駆け込んでいる現実は重い。
個人的な印象で言えば、メンズエステのセラピストは風俗嬢よりも金に細かい人が多い。
指名料、衣装、ディープリンパ、濃いローション、延長。性的な期待を細かく分解して一つずつ有料化し、さらに店を通さない一万円まで個室で取りにくる。
その一方で「私たちは性的な仕事ではない」と風俗嬢を見下し、問題になれば自分は健全なセラピストだったという顔をする。
そんなものはグレーな遊びでも、客との特別な関係でもない。店の看板を隠れ蓑にした、危険な小遣い稼ぎだ。



店に内緒の一万円は“特別扱い”じゃない。あとで全部ひっくり返るかもしれない危険な裏取引よ
男性スタッフからも客を小馬鹿にする空気が漏れてくる


問題はセラピストだけではない。
店を運営している男性スタッフからも、客を小馬鹿にしている空気が漏れてくることがある。
予約の受け答えが雑。
説明が曖昧。
セラピストの情報は盛る。
客を一人の利用者ではなく、空いた枠へ金を落とすための駒として扱っているのが透けて見える。
もっともそれはメンズエステに限らず風俗店でもある話なのだけれども、そういう意味でやっぱりメンズエステも風俗店として扱われるのが当然な気はする。
もちろん、きちんと教育されたスタッフがいる店もある。ただ業界全体の印象としては、一般的な接客業はもちろん、風俗店の内勤より適当に見える場面が少なくない。
「どうせ下心で来ている男なんだから、この程度でいい」
口には出さなくても、そんな意識が電話、LINE、受付、トラブル対応の端々へにじむ。
ならば最初から、下心のある客を相手にしている商売だと認めればいい。その下心を狙って広告を出し、女性の写真を並べ、高いコースと性的なオプションを売っているのは店の方だ。
自分たちで集めた客を、自分たちで馬鹿にする。
こんな商売が客から敬意を払ってもらえるはずもない。
誓約書がセラピストを守る盾にも客を刺す刃にもなる


施術前に、セラピストへの接触禁止、性的サービスの要求禁止、盗撮禁止などを記した誓約書へ署名させる店もある。
これは本来、必要なものだ。
無断で胸や尻へ触る客、スマートフォンを隠して撮影する客、断られても性的な要求を続ける客。個室で働くセラピストを、そうした危険から守らなければならない。
相手の同意なく身体へ触れてよい理由はない。「メンズエステだから」「密着されたから」「勃起させられたから」は免罪符にならない。
ただし、それと店側の営業姿勢は別問題。
紙の上では性的な行為を全面禁止しておきながら、実際には鼠径部を執拗に攻め、指先を陰部へかすめ、透けた衣装と濃いローションで興奮を煽る。
その演出で高い料金を取りながら、客が距離感を読み違えた瞬間だけ「最初に誓約しましたよね」と健全店の顔へ戻る。
誓約書と現場の運用が一致しているなら、セラピストを守る盾になる。
一致していないなら、店側だけが好きな瞬間に抜けるための非常口だ。
客には境界線を正確に読めと要求する一方で、店はその境界線をわざと見えにくくする。読み間違えれば施術中止、出入り禁止、場合によっては高額な金銭請求。
そんな一方的なゲームを「大人の遊び方が分からない客が悪い」で済ませるのは卑怯だ。
性風俗特殊営業としての届出を行わず、性的サービスを提供すれば違法営業として摘発対象になり得る。だから店が禁止事項を明示する理由自体は分かる。だが、書類に一行書けば、実際の営業内容まで健全になるわけではない。
メンズエステ事件簿――グレーを罠に変えた「100万円」の美人局
ABEMA Primeの動画「【メンエス】性的暴行に美人局も…メンズエステ違法性は?100万円支払った男性に聞く」では、実際に100万円を支払ったという男性が、美人局被害の経緯を語っている。
男性の証言によれば、施術中にセラピストが男性の手を自分の身体へ近づけ、胸を触らせようとしたという。さらに身体を密着させ、尻が目の前に来るような姿勢で施術。男性が尻へ触れた瞬間、女性は急に怒り出して施術を中止し、部屋の外へ出されたところへ男性が駆け寄ってきたとされる。
この動画で重要なのは、客が勝手に暴走したという単純な話ではなく、女性側から接触へ誘導されたと本人が証言している点だ。
もちろん、誘われたように感じたからといって、同意なく相手の身体へ触れていいわけではない。そこは客側が守るべき絶対線である。
しかし、その下心と判断ミスを最初から金へ変える目的で、店側が接触を誘い、応じた瞬間に態度を変え、第三者を登場させて高額な示談金を迫るなら、それはもう焦らしでも裏オプションでもない。
グレーを楽しませる店と、グレーを罠に使う店はまったく別物だ。
参考:ABEMA Prime「メンズエステ美人局の被害に…100万円支払った人に聞く」/ABEMA TIMESの関連記事
元私人逮捕系Youtuberメンズエステ美人局の指南役だった疑いで逮捕
この手の話を「ネットの作り話」で片づけられない象徴的な事件がある。
2025年3月、かつて「中島蓮」の名前で私人逮捕系YouTubeチャンネル「ガッツch」を運営していた今野蓮容疑者が、メンズエステ客から現金を脅し取ったとする恐喝容疑で逮捕された。
報道によれば、グループは男性客へ「女の子が嫌がる行為をしたら罰金100万円を払う」という趣旨の誓約書を書かせ、そのうえで女性従業員側から性的サービスを持ちかけていたとされる。客が応じると男性らが現れ、違約金名目で現金を要求する仕組みだったという。
今野容疑者は過去に類似の手口で逮捕されて不起訴となった経験をもとに、知人らへ「捕まっても起訴されない」などと指南した疑いも報じられた。事件を巡っては、グループのリーダー格ら10人が恐喝罪などで起訴されている。
被害者は2024年1月から11月までに約240人、被害総額は約8000万円に上ると報じられた。
今野容疑者は逮捕時、容疑を否認したと報じられている。逮捕は有罪確定ではないため、その点は分けて考える必要がある。それでも、誓約書、性的な誘導、スタッフの登場、高額請求という流れが、捜査対象となった具体的な手口として報道された事実は重い。
参考:時事通信「エステ店で『美人局』、指南か 元私人逮捕系ユーチューバーら逮捕」/日刊スポーツ「元『私人逮捕系』ユーチューバー逮捕」
「触らせて示談金」は過去に有罪判決も出ている
さらに2023年に弁護士ドットコムが報じた裁判では、女性スタッフが店側から「あえて密着して、客に興奮をさせて触らせろ」と指示されていたことを証言した。店についても、客へ禁止行為をさせて示談金を請求する店だと説明されていたという。
女性は客10人ほどから合計約50万円を得たと供述し、懲役2年、執行猶予4年の判決を受けた。
参考:弁護士ドットコム「客に禁止行為をさせろ」メンズエステ店の秘密のルール
もちろん、客が実際に同意のない接触をしたなら、その行為まで正当化されるわけではない。
しかし、客の下心と業界の複雑な境界線につけ込み、最初から金を脅し取る目的で誘導する行為も正当化されない。
真面目な店が書かせる誓約書と、悪質な店が罠として用意する誓約書。客が入口で見分けられないこと自体、すでに業界の信用が壊れている証拠だろう。
美人局を行う店は、単に被害者を生むだけではない。
普通の店が守ってきた「言葉にはしないが、互いに分かっている」という遊びそのものを壊す。すべての密着、すべての指先、すべての誓約書へ疑いを持ち込む。
グレーを悪用する店は、健全なグレーに寄生している。
美人局や高額請求から自分を守るために
まず、性的サービスのない店では、どれだけ密着されてもセラピストの身体へ勝手に触らないこと。
「あるかな」と期待するのは自由。でも、「誘われているように見えた」と「触ってよいと言われた」は別だ。何もなかっただけでキレる客も、遊び方を分かっていない。
個室で「一万円でヌく」などの裏オプションを持ちかけられても、受けない方がいい。その瞬間は合意に見えても、店に知られた後や関係がこじれた後まで同じ説明が維持される保証はない。
施術前の誓約書は流し読みせず、禁止事項と違約金を確認する。サービス後に男性スタッフから高額な金銭を要求されても、その場で新たな示談書や誓約書へ安易に署名しない。すぐに支払わず、やり取りやメッセージを残し、警察や弁護士へ相談する。
弁護士による解説でも、美人局が疑われる場面では、その場で示談書へ署名せず、金を支払わず、会話や連絡を保存することが勧められている。ただし、無理に逃げたり相手を刺激したりせず、落ち着いて対応することも重要だ。



「誘われたように見えた」では触らない。高額請求されても、その場で払わない。色気に浮かれても、この二つだけは忘れないで
「風俗嬢ではない」という安いプライド


メンズエステ嬢の「私たちは風俗嬢とは違う」という妙な選民意識も、どうにも鼻につく。
法的な業種が違う。それはそうだ。
だが、ここで言っているのは法律上の分類ではない。
性的な期待を利用して高い料金を取りながら、風俗嬢だけは自分より下だと思っている、そのやっすいプライドの話。
自分たちは癒やしを提供するセラピスト。性的な目で見る客は低俗。風俗嬢と一緒にされるのは心外。
そう言い張るのなら、露出の多い衣装も密着も鼠径部への執拗な施術も外し、純粋なマッサージ技術だけで同じ金額を取ってみればいい。
それができる人は、いったいどれほどいるのか。
むしろ風俗嬢の方が、自分が何を商品にし、どこまで提供し、その代わりにどんな負担や危険を背負っているか理解しているぶん潔いこともある。
メンズエステは性的な空気では稼ぎたい。でも風俗とは呼ばれたくない。客の欲望は利用したい。でも欲望を向けられれば、自分だけはその外側にいる顔をしたい。
その都合のよさで風俗嬢を見下すのだから、むしろたちが悪い。
風俗嬢との違いを誇る前に、自分の仕事が何を売っているのか、一度きちんと鏡を見た方がいい。
客を笑いものにするSNSやYouTubeが見るに耐えない


メンズエステ嬢によるSNSやYouTubeにも、見るに耐えないものが多い。
「こんな客がキモかった」
「痛客あるある」
「メンエスへ来る男はこう」
「勘違い客を成敗した」
自分が接した狭い範囲の客を材料にして、男性客全体や業界全体を分かったような顔で語る。安全対策や注意喚起ならまだしも、客を見下し、仲間内で笑いものにし、それを再生数と承認欲求へ変えているだけの発信も少なくない。
危険な客がいるのは事実だ。無断接触、盗撮、ストーカー、暴言。そんな客は遠慮なく出入り禁止にすればいいし、犯罪なら警察へ持っていけばいい。
しかし、危険行為への対処と、客という存在そのものを嘲笑することは別。
そもそも、その「キモい下心」を刺激して料金をもらっているのは誰なのか。
客の下心で飯を食い、性的なオプションを売り、仕事が終われば客の下心をSNSで笑う。自分は欲望の外側にいるつもりかもしれないが、同じ舞台の上で金を受け取っている時点で、そんな高い場所には立っていない。
たかが自分の観測範囲だけで、客も男性も業界も語り尽くしたつもりになるな。
客を馬鹿にすることでしか自尊心を保てないなら、発信者を気取る前に黙って店を辞めればいい。
そんなSNSやYouTubeは不快だし、心底くたばれと思う。



客の悪口で再生数を稼ぐ前に、自分の接客が他人へ語れるほど立派なのか見直した方がいいわね
メンズエステ通いは肥溜めの中から砂金を探すようなお遊び


メンズエステ通いなんて、肥溜めの中から砂金を探すようなお遊びだ。
写真と実物がまるで違う。日記で匂わせていた雰囲気とも違う。施術はオイルを塗って撫でているだけ。鼠径部も数回触って終わり。会話も接客も雑。それでいて、料金とオプションの案内だけは立派。
そんな店やセラピストを何人も踏み越えた先で、ごく稀に技術、焦らし方、距離感、会話、すべてが上手い人へ当たる。
直接ヌくわけでもないのに、風俗より満足して帰れるようなセラピスト。
その瞬間だけは、「ああ、こういう人も本当にいるんだな」と思える。
けれど、砂金が一粒見つかったからといって、肥溜めが清流になるわけではない。
当たりを引くまでに何万円、何十万円と使い、時間まで溶かす。それを「店選びも含めてメンエスの楽しみ」などと美談にする気にはなれない。
まともなサービスなら、客が地雷原を歩くように店と人を選ばなくても、最低限の品質や説明は担保されているものだ。
ごく一部の砂金を持ち出して業界全体を擁護するのは簡単。
でも本当に見るべきなのは、その砂金が見えなくなるほど周囲を埋め尽くしているものの方だ。



たまに本物の砂金が出るから、また桶へ手を突っ込んでしまう。そんな業の深い遊びなのよ。
健全なグレーであり続けるために業界として対応が必要なのではないだろうか?


メンズエステから、すべてのグレーさを消せとは思わない。
鼠径部ぎりぎりの施術も、指先が触れそうになる緊張感も、透けた衣装も、濃いローションも、それを客とセラピストが互いに理解し、安全に楽しめるなら勝手にすればいい。
勃起はさせるがヌかない
その中途半端さこそが商品であり、風俗とは違う面白さなのだから。
曖昧にしてよいのは、セラピストが今日どこまで焦らしてくれるのかという答えと、期待の余白だ。
客がしてはいけないこと、追加料金、同意、トラブルが起きたときの対応まで曖昧にしてよいわけではない。
オプションで客単価を上げながら、性的な店として見られたら被害者の顔をするな。
客へ境界線を守れと要求するなら、店側も越えてはいけない境界線を明確に示せ。
誓約書を盾にするなら、現場の施術と広告もその内容に合わせろ。
セラピストを守るなら、客側が悪質な店や美人局へ巻き込まれない仕組みも作れ。
風俗嬢ではないと誇るなら、風俗嬢より高い金を取っても納得させられる技術と接客を身につけろ。
客の下心で飯を食うなら、その客をSNSやYouTubeで笑いものにするな。
運営スタッフも、客を空き枠へ金を落とす馬鹿として扱うのをやめろ。
そして業界全体も、悪質店を「あそこは特殊だから」で切り離して終わるな。掲載媒体は疑わしい店を外し、店はセラピスト任せの裏サービスを黙認せず、美人局や不当な金銭請求の情報が出たら業界内で共有して排除する。
客側にも守るべきものはある。グレーだから何をしてもよいわけではない。勝手に触らない。無理に要求しない。盗撮しない。何もなくてもキレない。セラピストが作った距離感の中で、「今日はあるかな」と期待するところまで含めて遊ぶ。
店、セラピスト、客。その全員が同じ最低限のルールを守って初めて、メンズエステの曖昧さは罠ではなく興奮になる。
ごく一部に素晴らしいセラピストがいることも、忘れられないほど良い店があることも否定しない。
砂金は確かにある。
だからこそ、砂金まで肥溜めの臭いにまみれている現状が腹立たしい。
性的な期待で稼いでいる事実を都合よく否認する店も、「一万円でヌく」と個室で持ちかけるセラピストも、「触ったから100万円」と迫る美人局も、客を小馬鹿にする男性スタッフも、狭い了見で客を晒す発信者も、すべてを同じ曖昧さの中へ隠し続ければ、やがて客はグレーそのものを信用しなくなる。
メンズエステという遊びを残したいなら、白になる必要も、黒になる必要もない。
ただ、健全なグレーであり続けるために、業界全体で一度きちんと膿を出す必要がある。



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