海外のエロ絵って、なんであんなに抜けないんだろう。
もちろん全部が全部そうという話ではない。
日本のアニメや漫画の絵柄を完全に吸収して、日本人が見ても普通に「うまい」「かわいい」と感じる絵を描く海外絵師はいくらでもいる。
今回取り上げたいのは、特にアメリカのコミックやゲーム、その影響を受けたファンアートなどでよく見かけるタイプの女性絵だ。
別に絵が下手なわけではない。
むしろメチャクチャ上手い人も多い。人体もしっかり描けているし、胸はデカい、尻もデカい、露出も多い。どう見てもエロく描こうとしている。
それなのに、日本のエロ漫画や同人誌を見ている時ほどチンポに響かない。
よく見てみると違うのは顔だけではなかった。
目、鼻、頬骨、唇、身体つき、肌、筋肉、表情。さらに「どこまで現実っぽく描くか」まで結構違う。
どうやら日本で長年育ってきた「エロい二次元女性」と、アメリカのコミック文化などで育ってきた「セクシーな女性」では、かなり違う部分があるようだ。
海外のエロ絵は「下手」なのではない

最初にはっきりさせておきたい。
海外のエロ絵を見て「なんか好みじゃない」と感じることと、絵が下手であることはまったく別の話だ。
人体のバランスも取れている。陰影も上手い。髪や肌の質感なんて、どうやって描いているのか分からないほど細かい作品もある。
それでも興奮するかと聞かれると、なぜかそうでもない。
考えてみれば当たり前で、絵は上手ければ上手いほどエロくなるわけではない。
何を美人だと思うか。どんな身体に色気を感じるか。どの程度まで現実の人間に近づけたいか。
その好みが違えば、同じ「エロい女性」を描いたつもりでも出来上がる絵はかなり変わる。
迷路亭愛絵が上手いのは分かる。でも抜けるかどうかは別なのよね。ここ、本当に不思議。
まず分かりやすいのが顔|目、頬骨、鼻、唇がかなり違う


一番分かりやすいのは、やっぱり顔だ。
日本の美少女絵では、大きな目、小さな鼻、小さな口、滑らかな輪郭という組み合わせをよく見る。
漫画の視覚表現を研究しているNeil Cohnも、日本の漫画で共有される典型的な描き方として、大きな目、小さな口、とがった顎などを挙げている。
鼻もかなり省略される。
さらに目の大きさについては、実際の顔写真を加工した心理学研究でも、大きな目を持つ顔の方が小さな目より「かわいい」と評価されやすいという結果が出ている。
日本のアニメや美少女イラストで目がどんどん大きくなったのも、「かわいさ」を出すうえでは分かりやすい方法だったということになる。
海外絵では目が細く、吊り気味になることがある
一方、アメリカ系のコミックやファンアートで描かれるセクシーな女性を見ると、目が日本の美少女キャラより細く、横長で、目尻が上がっていることがある。
大人っぽく、強く、自信のある女性を描くにはよく似合う。
ただ、日本の萌え絵に慣れていると、これが「かわいい」とは別方向に見えることがある。
そして頬骨、鼻筋、唇の存在感が強い
個人的に特に気になるのが頬骨。
日本の美少女イラストでは、頬骨の存在なんてほとんど感じさせない。頬から顎までツルッとつながり、鼻も短い線や点だけで終わることが珍しくない。
ところが海外絵では、頬骨の高低差をしっかり描き、鼻筋や鼻先にも立体感を出す。さらに厚めの唇、長めの顎が加わることもある。
描き手からすれば、こちらの方が大人っぽくて色気のある美女なのだろう。
日本の美少女絵では消してしまう部分を、海外絵では美しさとしてしっかり描く。
同じ女性の顔でも、ここでかなり印象が変わってくる。
なぜアメリカ人が描くと「ポカホンタス!?」になるのか


海外のファンアートを見ていると、ときどき「お前誰だよ」と言いたくなるほど元キャラの顔が変わっていることがある。
日本では丸みのある顔に大きな目、小さな鼻で描かれていた美少女が、海外版では急に面長になり、頬骨が高くなり、目は細く、鼻筋はくっきり、唇も厚くなる。
そして完成した絵を見て思う。
「ポカホンタス!?」
もちろん、ここで言う「ポカホンタス」は民族の顔立ちについての話ではない。
ディズニー版『ポカホンタス』を連想するような、細長い目、高い頬骨、はっきりした鼻、厚めの唇を持つ、大人っぽく骨格の強い女性キャラクターのデザインを指している。
面白いのは、描き手が元キャラを不細工にしようとしているわけではないこと。
むしろ美人に描こうとしているように見える。
元の日本的な美少女キャラを、自分が魅力的だと思う女性の顔へ描き直した結果、日本側から見ると「元のかわいさ、どこ行った?」となる。



たぶん向こうでは美人になってるのよ。でもこっちとしては「美人にする前の顔に戻して!」ってなるの。
胸の根元にそばかす!?海外エロ絵は妙なところがやたらリアル


顔とは別に、海外エロ絵を見ていて「そこまで描くの?」と思うことがある。
肌だ。
胸元からデコルテにかけて細かなそばかすを散らしてみたり、肌に赤みを入れてみたり、ほくろや色ムラを残してみたりする。
鎖骨の影、肩の筋肉、脇の色、皮膚の細かな凹凸まで丁寧に描く作品もある。
技術として見ればすごい。
でも日本の二次元エロに慣れていると、
「そこ、そんなにリアルにしなくてもいいんだけど……」
となることがある。
日本の美少女絵は、現実に存在する細かな情報をかなり消している。
毛穴はない。肌荒れもほぼない。頬骨も目立たない。鼻の穴さえ描かれないことがある。
身体も同じで、筋肉や皮膚を現実そのままに描くのではなく、胸、腰、尻、脚といった見せたい曲線だけをきれいに整理している。
だから同じ女性の裸に近い姿でも、肌の情報量が増えるだけでかなり生々しく感じる。
その生々しさを色気と感じる人もいれば、「二次元にそこまでのリアルさは求めてない」と感じる人もいる。
身体も「デカければエロい」というほど単純じゃない


海外エロ絵というと、巨大な胸と尻を持つ女性もよく出てくる。
では日本人は巨乳や巨尻が嫌いなのか。
そんなわけがない。
日本のエロ漫画にも、重力が仕事を放棄しているような爆乳キャラはいくらでもいる。
それでも海外絵とは見た感じが違う。
アメリカのスーパーヒーローコミックでは、細い腰、大きな胸、長い脚といった女性の身体的特徴を強く誇張してきた。
Carolyn Coccaが1993年から2013年までのMarvel・DC系作品を調べた研究でも、女性キャラクターの理想化された体型や、身体を強調する現実離れしたポーズが繰り返し登場していたことが報告されている。
さらに海外ファンアートでは、胸や尻だけでなく、肩、腹筋、腰骨、太腿、背中までかなり立体的に描く作品も多い。
日本の美少女絵にも筋肉質な女性はいるが、萌え系の女性キャラでは骨格や筋肉をあまり感じさせず、柔らかい曲線で身体を作ることが多い。
胸のサイズが同じでも、そこへつながる肩、腰、腹、脚の描き方が違えば、受ける印象はまるで変わる。
胸と尻だけ巨大化させれば、日本人にもエロく見えるというほど単純ではないらしい。
表情にも「エロい女」の違いが出る
もう一つ違いを感じやすいのが表情。
アメリカ系のセクシーな女性キャラでは、自信ありげな笑み、細めた目、こちらを真っ直ぐ見る視線など、強さを感じさせる表情をよく見かける。
これはこれで格好いいし、色気もある。
一方、日本のエロ漫画では、照れ、赤面、困り顔、笑顔、泣き顔など、感情そのものをかなり大きく描く。
日本の漫画には昔から、巨大な汗、赤面線、鼻血、デフォルメされた表情など、目に見えない感情や状態を絵で伝える独特の記号が大量にある。
Neil Cohnらの研究でも、こうした漫画独特の記号表現が「Japanese Visual Language」の一部として分析されている。
エロ漫画も当然その延長にある。
身体そのものだけではなく、「このキャラが今どんな顔をしているか」まで含めてエロさを作っている。
日本では「かわいい」と「エロい」が長年くっついてきた


そして日米の違いを考えるうえで外せないのが、日本独特の「かわいい」文化だ。
大きな目、小さな鼻と口、丸みのある輪郭、滑らかな肌。
日本の二次元では、こうした「かわいい」と性的な魅力がかなり近いところで育ってきた。
永山薫の『Erotic Comics in Japan』では、美少女系エロ漫画で発達した「かわいさ」や「美しさ」を含む表現が、1990年代半ば以降、漫画、アニメ、ゲームなど他のオタク系コンテンツにも広がっていったことが論じられている。
エロ漫画だけが別世界に存在していたわけではない。
美少女漫画、アニメ、ゲーム、同人誌、エロ漫画が互いに影響しながら、日本独特の女性キャラクター像を作ってきた。
身体は思い切りエロくても、顔は最後までかわいい。
爆乳でもいい。尻がデカくてもいい。服を脱いでもいい。
でも顔は大きな目と小さな鼻を持つ美少女のまま。
日本の二次元では、それがまったく不自然ではない。



身体はものすごいことになってるのに、顔だけ見たら普通に可愛い女の子。日本のエロ漫画じゃ当たり前すぎて気にしたこともなかったわ。
逆に海外から見れば、日本の美少女絵も相当変わっている
ここまで海外絵について好き勝手に書いてきたが、逆から見れば日本の絵だって相当変わっている。
- 現実ではまず見ないほど大きな目
- ほとんど存在しない鼻
- 妙に小さな口
- 毛穴も肌荒れもない均一な肌
- 現実離れした胸と腰の比率
- 筋肉や骨を感じさせない身体
こうして並べると、全然リアルではない。
でも日本で漫画やアニメを大量に見て育っていると、それをいちいち不自然とは感じない。
むしろ「そういうもの」として頭の中で処理できる。
大きな目がかわいさの評価に影響することを示した研究もあるように、私たちが何を「かわいい」と感じるかは、現実の顔だけを基準に決まっているわけではない。
長年見てきた漫画やアニメの表現も、好みに少なからず影響しているはずだ。
同じ「エロい女性」を描いても出来上がるものが違う
海外のエロ絵を見て感じる「なんか違う」は、一つの特徴だけでは説明しきれない。
日本の美少女絵では、大きな目、小さな鼻、滑らかな肌、柔らかな身体、豊かな表情が好まれてきた。
一方、アメリカ系のコミックやファンアートでは、はっきりした骨格、立体的な鼻や唇、筋肉、皮膚の質感などを積極的に描く作品も多い。
日本では消してしまうものを、向こうでは魅力として描き足す。
逆に、向こうでは描きたい身体のリアルさを、日本ではかなり思い切って省略してしまう。
どちらも現実の女性をそのまま写しているわけではない。理想の女性を作る時に、残したいものと消したいものが違う。
そう考えると、日本のアニメキャラを海外絵師が描いた途端に「ポカホンタス!?」となる理由も、少し分かる気がする。
もっとも、今では日本絵と海外絵の境目もかなり曖昧
とはいえ、「日本人はこう描く」「アメリカ人はこう描く」と綺麗に分けられる時代でもない。
日本の漫画やアニメは何十年も前から海外へ広がっている。
今では海外にも、日本人が見ても日本の美少女イラストとしか思えない絵を描く人が大勢いる。
逆に日本にも、骨格や筋肉、皮膚の質感をしっかり描くリアル寄りの作家は当然いる。
ネットで世界中の絵を毎日見られる今、国籍より「何を見て育ったか」の方が重要になっているのかもしれない。
それでも昔ながらのアメリカンコミック寄りの女性絵を見ると、やっぱり思う。
上手い。
ものすごく上手い。
でも、その頬骨と胸元のそばかすは別にいらんのよ。



向こうからしたら「その巨大な目と消えた鼻は何なのよ」って言われるんだろうけどね。結局、お互い様なのかも。



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