上野駅浅草口を出て、昭和通り方面へほんの少し。
駅前の一等地に、茶色い外壁の大きなマンションが建っている。
その名は「アルベルゴ上野」。
現在も普通に人が住み、賃貸や売買もされている現役のマンションだが、かつてここには大量のチャイエスや風俗店が入居していた。
しかも当時の怪しさは建物の中だけに収まらず、マンション前にはチャイエスの置き看板がずらずらと並んでいた。
その異様な光景もあって、一部界隈では「上野の九龍城」とまで呼ばれていたアルベルゴ上野。
今回はこのマンションがなぜそこまで魔窟化したのか、2010年の大規模摘発や当時の様子、現在の家賃相場まで振り返ってみる。
アルベルゴ上野とは?上野駅浅草口から徒歩すぐの巨大マンション

アルベルゴ上野の所在地は東京都台東区上野7丁目3-9。
JR上野駅浅草口から徒歩1分ほど。駅を出ればすぐという抜群の立地にある。
小さなワンルームが大量にあり、住居だけでなく事務所としても使える。そこへ上野駅前という立地が重なり、昔からさまざまな業種が入居してきた。
そして2000年代、その中でやたらと存在感を放っていたのが中国系マッサージ店、いわゆるチャイエスだった。
一部界隈では「上野の九龍城」と呼ばれていた

2000年代の東京には、マンションの一室を使って営業する中国系マッサージ店が数多く存在した。
もちろん中国系マッサージ店がすべて風俗店だったわけではないが、中にはマッサージを看板にしながら性的サービスを行う店もあり、上野や大塚、巣鴨、錦糸町、小岩などでは同じマンションに何店舗も入っていることも珍しくなかった。
その中でも特に強烈だったのがアルベルゴ上野だ。
数店舗が入っていたなんてレベルではない。
店によってはマンション内の部屋を複数借り、ある部屋を受付にして別の部屋をプレイルームや施術室として使っていた。
普通のマンションと同じように廊下には部屋のドアが並んでいるのだが、そのいくつもがチャイエスや風俗店につながっている。
さらに建物の前にはマッサージ店の置き看板が大量に並び、外から見ても十分に怪しい。
そんな独特すぎる光景から、一部界隈ではアルベルゴ上野を「上野の九龍城」と呼ぶこともあった。
2010年には大規模摘発も起きている

そんなアルベルゴ上野が大きく報じられたのが2010年10月。
文春オンラインは、マンション内で営業していた7店舗17人が売春防止法違反などで摘発されたと報じている。
驚くのはその規模だ。
当時の報道では12階建て・全234部屋とされ、そのうち100部屋以上がチャイエス業者と関係していたとされている。
現在の不動産情報では総戸数243戸となっているので部屋数には資料によって違いがあるが、それでも100室前後となれば相当な割合だ。
一方で当時の報道を転載したアーカイブには「6店舗11人を逮捕」「約100部屋が売春や性的マッサージの場に利用されていた」とする記録も残っており、摘発された店舗数や人数には資料によって差がある。
ただ約100室もの部屋がそうした業者に使われていたと報じられている時点で、当時のアルベルゴ上野が普通ではなかったことは十分伝わる。
風俗店が何軒か入ったマンションというより、建物の中に小さな風俗街ができていたような状態だった。
かつてマンション前にはチャイエスの看板が大量に並んでいた

筆者が当時のアルベルゴ上野で特に覚えているのが、建物の前に並んでいた大量のチャイエスの看板だ。
こちらの動画でも「上野の九龍城」と呼ばれている。筆者が思っていた以上に、この呼び名は当時のネット界隈に浸透していたのかもしれない。
上野駅浅草口を出てすぐの場所なのに、マンション前には中国エステやマッサージ店の案内がずらずらと並んでいた。
店が建物の中に隠れているというより「このマンションにはそういう店が大量に入っています」と外へ向かって宣言しているような光景だった。
その後これらの看板は、ある時期を境に一斉に姿を消した。
ちょうど東京オリンピックに向けて街が整備されていた頃だったこともあり、当時満蘭などのチャイエス系掲示板では「オリンピックの影響じゃないか」なんてこともささやかれていたが、実際のところは分からないし、そもそもあれだけ大々的にやっていればオリンピックなんて関係なくいずれはそうなっていただろう。
現在のアルベルゴ上野はどうなっている?

アルベルゴ上野そのものは現在も健在だ。
2026年現在も賃貸や売買物件が流通しており、住居だけでなく事務所として募集される部屋もある。
2026年8月に筆者が撮影した写真を見る限り、マンション前にかつてのような大量の置き看板は見当たらなかった。
とはいえ、この手の店や看板は出たり消えたりするものなので「現在は完全になくなった」とまで言い切るつもりはない。
少なくとも筆者が通っていた頃とは、入口周辺の雰囲気もずいぶん変わっている。
アルベルゴ上野の現在の家賃相場

そんなアルベルゴ上野だが、普通に住もうと思えば今でも借りられる。
LIFULL HOME’Sに残る2025~2026年の賃貸掲載履歴を見ると、14~16㎡前後のワンルームはおおむね6万円台~9万円前後で募集されている例が多い。
| 掲載時期 | 専有面積 | 間取り | 賃料 |
|---|---|---|---|
| 2026年6~8月 | 14.31㎡ | 1R | 7.5万円 |
| 2026年3~7月 | 14.28㎡ | 1R | 6.3万円 |
| 2026年5~6月 | 15.84㎡ | ― | 6.9万円 |
| 2026年4~5月 | 14.16㎡ | 1R | 9万円 |
| 2026年1月 | 16.35㎡ | 1R | 7万円 |
部屋はかなり狭いが、それでもJR上野駅徒歩1分。この立地で6~7万円台の募集があると考えると意外に安い。
事務所としての募集もあり、2026年には9.58㎡で月額賃料68,181円+共益費13,635円、13.70㎡で月額9万円+共益費5,000円という物件も確認できた。
築40年以上という古さと部屋の狭さはあるものの、上野駅のほぼ目の前という立地だけは今も強い。
あとがき――筆者もアルベルゴ上野には何度か足を運んだ

筆者はここに入っていた風俗店やチャイエスに何度か足を運んだことがある。
中でも特に思い出深いのが、興味本位で足を運んだニューハーフヘルス「愛秘」だ。
愛秘はアルベルゴ上野の部屋を複数借り、受付とプレイルームを作って営業していた。
筆者が初めて利用した時に相手をしてくれたのは、若くて普通に女性に見える方だった。
そのため特に拒否感もなく刺激的なひと時を過ごすことができ、新しい扉を開いた僕はその後愛秘に数回足を運ぶことになった。
愛秘はその後横浜店を開店し、しばらくは上野と横浜の2店舗体制で運営していたが、いつしか横浜が本店となり上野店は閉店してしまった。
現在も愛秘は横浜で営業を続けている。
今回この記事を作るにあたってHPを久しぶりに眺めてみたのだけれど、当時在籍していた嬢が今も在籍しており懐かしい気持ちになった。
いや、正確に言えば懐かしさよりもそれ以外の感情の方が大きかった。
何故なら、私が愛秘を訪れたのは20年以上前だからだ。



コメント