AVを見ていると、出演している女優や男優には自然と目が向く。
しかし、その映像を「どんな作品にするのか」を決めている人については、意外と知られていない。
その中心にいるのがAV監督だ。
名前だけ聞けば映画監督やテレビ番組のディレクターに近い仕事を想像するかもしれないが、実際には企画を考えるところからキャスティング、台本、撮影、演出、編集まで担当することもあり、作品一本を最初から最後まで作り上げるクリエイターに近い。
ではAV監督は普段、具体的に何をしているのか。
給料や1作品あたりの報酬はどのくらいなのか。そして「自分もAV監督になってみたい」と思った場合、どこから業界に入ればいいのか。
AV監督という少し特殊な職業について、できるだけ分かりやすく見ていこう。
AV監督とはどんな仕事?

AV監督は、一言でいえば「成人向け映像作品の演出責任者」。
ただし、撮影日に現場へ行って出演者へ指示を出すだけの仕事ではない。
現在のSODのディレクター紹介を見ると、仕事は企画、女優のキャスティング、台本作成、撮影、編集、納品まで作品制作全体に及ぶと説明されている。
実際、現役ディレクターの井上ジャパン氏も、新卒入社後にADを経験して監督となり、企画から編集まで幅広く関わっている。
つまりAV監督とは、
「こういうエロい映像を撮りたい」
という頭の中のアイデアを、
「実際に販売できる一本の作品」へ変換する仕事なのだ。
AV監督の仕事内容

企画を考える
AV作りのスタート地点となるのが企画。
どんな設定にするのか、誰に出演してもらうのか、どこが作品最大の見せ場になるのかを考える。
ドラマ仕立ての作品なら人物設定や物語も必要になるし、バラエティ色の強い企画物なら「どういう状況を作れば面白くなるか」という発想力が重要になる。
ここがAV監督という仕事の面白いところでもある。
単純に映像撮影が上手ければいいわけではなく、「そんな発想どこから出てきたんだ」と思わせるアイデアが、そのまま商品になる世界なのだ。
SODでもADが企画会議に参加し、自分の企画を提出。認められれば監督デビューにつながる仕組みが紹介されている。
キャスティングや撮影準備をする
企画が決まったら、その内容に合った出演者やロケーションを考える。
女優や男優だけではなく、作品によってはエキストラ、カメラマン、照明、録音、美術など多くのスタッフが必要になる。
衣装や小道具、撮影場所の手配も必要。
SODのAD業務にも、小道具や衣装の準備、買い出し、ロケ現場のサポートなどが含まれている。
華やかな撮影本番より、こうした地味な準備に費やす時間の方が長いことも珍しくない。
台本や撮影の流れを作る
AVにも台本がある。
もちろん作品によって台本の細かさは大きく違う。
ドラマ物ならセリフや場面転換までかなり細かく決めることもある一方、ドキュメント色の強い作品や企画物では、大まかな流れだけ決めて出演者の反応を生かす場合もある。
どこまで作り込み、どこから出演者へ任せるのか。
このバランスも監督の演出となる。
撮影現場で演出する
一般的にイメージされる「監督らしい仕事」がここ。
どこから撮るのか。
どんな表情や雰囲気が欲しいのか。
どのタイミングで場面を進めるのか。
撮影スタッフや出演者とコミュニケーションを取りながら、企画した作品を実際の映像へ変えていく。
ただ、成人向け映像だからといって、とにかく過激なことをさせればいいわけではない。
出演者が安心して撮影できる空気を作り、現場全体を見ながら進行させることも監督の重要な能力となる。
SODの井上ジャパン氏も、新人女優との面接では不安を与えない空気作りを重視し、現場でも「女優さん第一」で動くことについて語っている。
今のAV監督には法律や出演者の同意への理解も必須

現在のAV制作では、演出力だけでは足りない。
2022年に施行されたAV出演被害防止・救済法では、出演契約について細かなルールが設けられている。
契約書や説明書面を交付してから1か月間は撮影できず、撮影時には出演者の安全を確保する必要がある。
また、出演者は嫌な行為を拒否でき、公表前には撮影された映像を確認できる。さらに、すべての撮影終了から公表までは4か月以上空ける必要がある。
実際の契約管理を誰が担当するかは会社によって違うが、少なくとも監督が「知らなかった」で済ませられる時代ではない。
演出、出演者への配慮、法律、現場管理。
AV監督はかなり総合力を要求される仕事になっている。
撮影が終わったら編集する

撮影終了で監督の仕事も終了、ではない。
素材を確認し、どのカットを使うのか、どこを削るのか、どんな順番で見せるのかを決めて一本の映像に仕上げていく。
SODでは監督自身が少なくともオフライン編集まで担当するケースが多いと紹介されている。
同じ撮影素材でも、編集次第でテンポも印象もかなり変わる。
監督にとって編集は、撮影した素材から最終的な「作品」を作る最後の演出でもある。
AV監督とプロデューサーは何が違う?

会社によって役割が重なることも多いが、大まかに分けると、
監督は「何をどう撮るか」を考えるクリエイティブ寄りの責任者。
プロデューサーは予算、スケジュール、キャスティング、商品として成立させるための管理などを含め、プロジェクト全体を動かす立場になる。
ただしAVは比較的少人数で作られる作品も多いため、監督が企画、演出、撮影、編集のかなり広い部分まで兼任することもある。
一般的な映画監督以上に「何でも屋」に近いケースもある職業だ。
AV監督の報酬・年収はいくら?
ここは「AV監督の平均年収は○○万円」と簡単には言えない。
会社員としてメーカーや制作会社に所属する監督と、作品単位で仕事を受けるフリー監督では、収入の仕組みがまったく違うためだ。
メーカー社員なら普通の会社員に近い
2026年8月時点のSOD中途採用では「ディレクター/プロデューサー」の想定年収が450万円〜。
ディレクター候補となるAD/APは397万円〜となっている。
新卒制作職の初任給は月額265,123円で、賞与は年2回。
少なくとも大手メーカーの社員として働く場合、「AV監督だから一本撮るたびに数十万円もらえる」というより、普通の映像制作会社員として給与を受け取りながらキャリアアップしていくイメージに近い。
フリー監督は1本ごとの報酬になることも
フリーの場合はかなり事情が変わる。
AV監督としても活動する森林原人氏はABEMAの番組で、監督料として支払われるケースでは1作品あたりおよそ3万円〜30万円、制作費としてまとまった金額を受け取るケースでは5万円〜30万円程度と説明している。
もちろん、これは業界全体で決められた統一料金ではない。
監督の知名度、メーカー、作品規模、撮影内容、編集まで担当するのかなどによって大きく変わる。
売れれば単価や本数が増える一方、仕事が少なければ収入も減る。
フリーのAV監督は、映像クリエイターやフリーカメラマンに近い世界と考えた方が分かりやすい。
AV監督になるには?

AV監督になるための国家資格や「AV監督免許」のようなものはない。
映像系の大学や専門学校を卒業していなければなれない職業でもない。
実際、現在のSOD採用でも学歴不問とされている。
もっとも分かりやすいルートは、AVメーカーや制作会社へ入り、ADとして現場経験を積む方法。
SODでは制作職のADとして企画会議、撮影準備、ロケ・撮影、片付け、企画提出などを経験し、自分の企画が認められれば監督デビューを目指す流れが明示されている。
ほかにも一般映像の制作会社、カメラマン、映像編集などから成人向け映像へ移る人もいる。
いきなり「監督をやらせてください」と言うより、
- 映像を作れる
- 編集できる
- 現場を回せる
- 人とコミュニケーションが取れる
- 「こういう作品を作りたい」という企画を持っている
こうした力を積み重ねていく方が現実的だ。
AV監督に向いている人

単純に「エロが好き」だけでは結構厳しい。
もちろん成人向け作品への興味は必要だが、それ以上に重要なのが好奇心とコミュニケーション能力。
AV撮影は人間を撮る仕事だ。
予定通りに進まないこともあるし、出演者のコンディションによって演出を変更する必要もある。
長時間撮影になれば体力も必要。
SODも制作職について、体力、気配り、判断力が必要としたうえで、「自分から動ける」「予想外のことにも対応できる」「自分の企画を形にしたい」といった人物を向いているタイプとして挙げている。
そしてもう一つ大きいのが、人とは少し違う興味を面白がれること。
普通なら口に出すのをためらうような妄想でも、
「それ、映像にしたら面白くない?」
と考えられる。
AV監督という仕事の根っこには、そんなクリエイター的な部分がある。
AV監督は「自分の欲望を作品にできる仕事」でもある

映画監督が自分の描きたい物語を映画にするように、AV監督もまた、自分が面白い、エロい、見てみたいと思ったものを作品へ変えられる。
実際、SODの井上ジャパン監督も、私生活の中で感じた感情から考えた企画が初めてのヒット作につながったと語っている。
だからAV監督を目指すなら、映像技術だけを勉強する必要はない。
- 日常で感じた違和感
- 昔から好きだった妙なシチュエーション
- 人にはちょっと説明しづらいフェチ
- 「なんでAVにはこういう作品がないんだろう?」という疑問
そういうものが、意外と企画の種になる。
AV監督とは、大人向け映像を撮影する人であると同時に、人間のかなりくだらなくて、かなり正直な欲望を一本の作品にしてしまう仕事なのだ。
あとがき:あのとき連絡していたら

ここからは管理人の昔話。
かつてSODから「美形ギャルが肛門をブスに舐めさせるビデオ」という趣向のビデオシリーズが発売されており、僕の性癖にブっ刺さった。
ただ、見ているうちに少し気になるところも出てきた。
いつも気の弱そうなブス側が、気の強い美人に一方的にいじめられる形だったので、だんだん可哀想に見えてきた。
それはまだしも、結果が最初から決まっていて、そこへ向かって進んでいるような「台本感」にも少し萎えるものがあった。
だったら逆もあっていいじゃないか。
気の弱い美人が、気の強いブスの肛門を舐めるシチュエーションがあってもいい。
あるいは最初から結果の決まった、いかにもヤラセっぽい罰ゲーム対決ではなく、本当に勝敗の分からない状態でガチ対決させて、負けた側が罰ゲームを受ける。
そっちの方が絶対に面白い。
そんな要望を、当時SODの社長だった高橋がなり氏へメールで送ったことがある。
すると後日、そのお便りをがなり氏がブログで紹介してくれた。
今調べてみたら、そのページは現在も残っていた。
今改めて見てみると、当時の自分はなんて文章作成能力が低いのだろうと、内容よりもそっちにまず恥ずかしさを感じてしまう。
勿論、今もご覧のように大した能力は無いのだけれど、それでもこの頃よりは大分マシにはなっているだろう。
当時はまだSNSも無く有名人との距離はネットと言えども今よりは遥かに遠い時代。
にも拘わらずマネーの虎等にも出ていてAVメーカーのトップを独走していた時代のSOD社長からこのように回答が頂けるなんてなかなか凄い事じゃないだろうか?
しかもがなり氏からは是非あなたが作ってみて下さいと言う提案までして頂いた。
ただし「多分連絡してこないだろうけど」とも書かれていた。
そして実際僕は連絡しなかった。
色々思い返してみれば自分を正当化するような言い訳は思い浮かぶのだが、
端的に言えば
「そこまでの情熱は無かった」
もっと正直に言えば
「いきなりそんな事言われてビビった」
からだ。
でも今になって考えると、連絡するだけしてみればよかった。
折角の
自分の頭の中にしかなかった妙な欲望を、プロのAVメーカーが本当に映像にしてくれるかもしれない。
そんな滅多にないチャンスだったのだから。
この記事を書くためにAV監督について改めて見てみると、現役監督が自分の実体験や感情から企画を考えているという話も出てくる。
そう考えると、あのメールも案外「AV監督的な発想」だったのかもしれない。
あのとき一歩踏み出していたら、人生のどこかで一本くらい、とんでもなくくだらないAVの企画に名前を残していた可能性もある。
後悔もチンポも先には立たない
チャンスが来たときは、とりあえず乗ってみるくらいでちょうどいいのかもしれない。



コメント